空間を背景とし風景を引き込む
緑豊かな芝生広場を見渡せるアトリウム吹抜部に面した喫煙所の改修にあたり借景の概念をさらに拡張させ「景色を引き込む」ことを意図し出来る限りデザインしないことを最初に決めた。
黒革鉄と黒モルタルという沈んだ色合いの限られたマテリアルと光沢のある質感により周辺環境が及ぼす外光の揺らぎを映り込みとして空間に引き込み、天井から壁面へと連続させたフィンによって居室本来の空間の外形をぼかした。
光りを受ける面を増やし外部空間との調和を増幅させると機能と同時にフィンがソファ席の隔て板の役割を兼ねることで、一人の時間や仲間との時間など煙草を吸う時間の多様さを最小限の要素で設計したいと考えた。