花と建築とアートの混じりあう空間
名古屋市内にあるこの住宅はフラワーショップとギャラリーと住宅という3つの用途をもつ。ここでは3つの通常は分けられるであろう空間が、見えない境界線を超えて、混ざりあっている。花がギャラリーに参加することで、アートになり、アートがフラワーショップに関わることで、生活に近づき、住宅が店舗スペースに参加することで、花をアレンジしている待ち時間が豊かに、そしてギャラリーの展示スペースにもなっていくような。見えない境界線を超えていくことで、住宅という境界さえも超えていきたいと考えた。
敷地の北側が小学校に隣接しているため、将来的にも環境が変わることなく、建物は小学校のグランドに植えられた植栽を借景として楽しむことができる。そこで、フラワーショップとアートギャラリーのある1階のスペースを歩道と学校をつなぐ外部のような場と考えて、開かれた場所をつくった。
1階の階高を高く確保し、歩道から学校の植栽をフレーミングして、桜や新緑、紅葉の季節など、さまざまな風景をつかまえ、まるで学校の敷地までもがフラワーショップかのように感じられる。2階・3階の住居スペースは道路からの騒音を考慮して北側のみに大きな開口部を設け、背光による安定した光で、住人は植栽をもっとも美しく鑑賞できる。
周辺環境に対して建築を開いたことで、場と建築、建築と人、人と人がつながっていくような、そんなきっかけが出来たのではないだろうか。