内部と外部のグラデーション
この建築は内部と外部のあいだ、いわゆる半屋外空間があることで外部と内部という環境を緩やかに繋いでいます。
内部から外部へのグラデーションのある、テラスのような、縁側のような室内のような屋外のような空間に、本来は室内にあるべき本や絵、書斎やお風呂などが、積極的に参加することで、内部と外部を強く関係づける役割を果たしています。
また、このあいだが外部で起こる様々な自然の現象との緩衝体になることで、守ることと開くという、相反する性格を同時に持ち合わせています。構造は木造でありながらも、自由な開口部が選択できる工法を考えました。本来、木構造は柱・梁と筋かいによって耐震要素を補完しますが、ここでは柱が筋交いであり、筋交いが柱であるような、柱を斜めに使用した構造を採用することで、軸組がシンプルに構成され、木造でありながらも、開口に制約を与えない構造になっています。
海の前という非常に魅力のある敷地での、開放と自然との関わりを、内部と外部のあいだや柱と筋交いのあいだ、様々なあいだを求めたことで、ひとつの答えに辿り着けたのではないかと考えています。
あらゆる関係性の、あいだにある、そのなにかを求めた先に、これからの建築が見えてくるのではないかと、今は考えています。