敷地の概念を広げる
敷地は、東京都板橋区の住宅地の一画に位置する15坪の小さな角地にあります。南側には道路を挟んで公園があり、四季を感じることのできる環境が約束されています。ここに夫婦と子供1人と祖母と犬1匹の家族が楽しく生活するための明るく広がりのある住宅が求められました。小さな敷地ですが、公園までもが自分の敷地であるかのような、そんなおおらかな場所を持つ住宅にしたいと当初から考えていました。
2階のリビングスペースに設けられた大きな出窓のような、ベンチのような、景色を切り取る開口部によって、あたかも公園のベンチに座っているかのような気分を味わうことができ、公園であそんでいる子供たちを眺めたり、スキップフロアによって、家族間のコミュニケーションがはかられたりと、各場所がつながりあっていることで、精神的な安心感のある空気をデザインしています。
決して、華美な装飾や、設備は備えていませんが、人と人が関わるきっかけのような住宅によって心が豊かになる住宅が実現できたのではないかと考えています。設備や性能を重視された、建築の価値も大切ですが、ここでは、いつも時代も変わらない、コミュニケーションがとれるという安心感のようなものがデザインされることで、これからの豊かさに出会えるのではないかと考えています。