境界線を拡張する
白と黒の間には多様なグレーが存在し、右と左を分ける線も線幅を広げていくと新たな間という空間が生まれると定義し、仕事と遊び、会社と家、様々な行為や場の境界線自体を拡張させることで起こる働き方と暮らし方の可能性を追求した。
新宿駅と直結し利便性に優れた築39年のオフィスビル全体をシェアオフィスへと改修するプロジェクトである。働き方が多様化している中でワークスタイルだけでなくライフスタイルにも対応したシェアオフィスの依頼を受けた。議論を重ねた結果、住まう場所(1stPLACE)や働く場所(2stPLACE)ではない第三の居場所(3stPLACE)を求める昨今の風潮に対し、1と2の間にこそ「オフィスを住に」し「暮らしを自由に」する新たな場があるのではないか考え1と2の間を顕在化し「ジュウニ」と呼ぶこととした。
働く場が週末には子連れでもくつろげるリビングとなる、趣味を重視する2拠点生活者が自宅のようにリラックスできるソファーとベットの間のような家具、植栽に囲まれたビヤガーデンのようなワークスペースといった間の概念が持つ曖昧さを空間に落とし込み働くように暮らし、遊ぶように働くことで、新たなライフスタイルが実現出来る場を目指した。
執務空間においては間仕切りとして既製のラックを用いプライベートとパブリックに余白を設け、公共のスペースに個人の物が滲みだし偶発的にコミュニケーションのきっかけが起こることを意図した。
現状分類されているさまざまな境界線を拡張することで余白に潜む時間や場の価値を発見していくことが重要であると考えた。