コミュニティをつくる
新しいバイクショップのコンセプトを作るにあたって最初に考えたのは、ただお店を作るのではなく新しいコミュニティを作るということだった。プロの人もそうでない人も、同じことに対しての情熱を持っている人と日常的に繋がることのできるユニークな場所としてバイクショップを改めて考えた。
こうしたコミュニティを作るため、街とその土地の背景とのつながり作ること、そして幅広い機能の中から使用者一人ひとりに合わせた”作る経験”を提供することに焦点を当てた。
既存の建物は木造で作られた二層の住宅で、小さな窓だけが通りに面していた。そのため最初の課題は透明なファサードを通りから数メートルセットバックさせたところに立て二層分の半外空間を作り、活気があり入りやすい店先にすることによって周囲を解放させることだった。
一階は交流の場として、またサイクリングの基礎となる場として設計された。そのためトレーニングの後に使用するシャワールーム、家にかえる前にお茶をしながら交流を楽しむカフェ、そして自転車を万全の状態に保つためのメンテナンスエリア、パーツショップなどが備わっている。二階は自転車のショールームとパフォーマンス改善のため姿勢などを分析するサイクリングマシーンエリア、バックオフィス、ストレージとなっている。
古いと新しいのバランスをとりながら、“作る経験”を素材にとして反映させた。元々の特徴と素材を保ち、“古い技術”に焦点を当てながら、現代的でシャープなマテリアルを使用することによって、強いコントラストを作った。その結果、伝統と現代、原型と新しい形、荒さとシャープさ、が並列し、その中で元々の構造と壁の素材から新しいボリュームとマテリアル、そして自転車そのもの、といくつかのレベルで物事が技術の形として評価されるようになった。