アマハジノキョリ
周辺は豊かな自然に囲まれ、島にはサトウキビ畑が広がり、フクギ並木、瓦屋根の集落、昔懐かしい沖縄の原風景が残る。
沖縄の気候は日本で唯一亜熱帯気候に属し、夏季には非常に強い日射により過酷な環境が訪れ、台風の影響を受けやすく、暴風雨などの自然環境の影響を受けやすい土地柄である。
この場所にふさわしい建築を考える上で独自に発展してきた琉球建築を再解釈し、風通しのよさや、強い日差しから守る深い軒(雨端(アマハジ))を考慮した沖縄ならではの快適さや豊かさを享受できる建物を目指した。
建物は、高潮による2mの浸水想定区域に属するため、4本のL型柱の構造で宙に浮かし、ピロティ空間を作って、高潮対策とした強い構造を有し 階毎に違う形状の3層の深い軒(雨端(アマハジ))によるシンプルな構成とした。
3階は、海へと傾斜することで波を近くで感じるような不思議な距離感のLDK、2階は大開口でありながら深さが安心感のある寝室、1F部分はピロティとすることで、大地とつながり、敷地全体がダイニングキッチンスペースとして機能し、玄関という概念のなかった琉球建築の近所付き合いの場、雨端(アマハジ)空間として機能する。
大きな屋根下の外と中の曖昧な空間が沖縄の豊かな自然を享受し、同時に過酷な自然環境と共存する環境共生型の住まいを目指した。