ダンスとオフィス、アートが呼応するオフィス
「自分の人生を懸けてダンスに没頭するダンサーの姿に触れ、社員が自らを見つめ直す契機となるように。ダンサーもまた、社員の働く姿から刺激を受け、相互作用を生む場としたい」——社長のこの思いが、本計画の設計における糸口となった。
バリュエンスホールディングスは、プロダンスリーグ「D.LEAGUE」に参画するダンスチーム「Valuence INFINITIES」のオーナー企業である。本計画では、その練習スタジオをオフィスの中に組み込むという、きわめて稀有な空間構成が求められた。
計画の軸としたのは、「見る/見られる」という関係性である。モノトーンを基調とした空間に、素材や色、構成の対比によるコントラストを与えることで、ダンスの風景、社員が働く風景、既存のアート作品が明確な対象として立ち上がる構成とした。
計画の要であるダンススタジオは、来客フロアの中心に配置した。版築左官壁の量塊をガラスで包み込み、間接照明によって柔らかく浮かび上がらせている。待合や通路に設けた開口部からは、内部のダンスの様子がアートのように切り取られ、点在するアート作品と呼応しながら、空間全体にギャラリーのような空気感をもたらす。一方、ダンススタジオからは、来客フロアの風景が対景として印象的に立ち上がる。
最上階には、カフェエリア、執務空間、役員会議室、社長室を配置している。緑を取り込んだインテリアと点在するボリュームが、外部を歩くようなリズムを生み出しつつ、大空間を役割ごとにやわらかく分節する。空間の性質に応じて配置したアートが、それぞれの場に異なる表情を与えている。
ダンス、オフィス、アートが重なり合うことで、「異なる価値に気づくための空間体験」を生み出し、従来のオフィスでは生まれ得なかった新たな相互作用の起点となることを目指している。