猫屋町ビルヂング

「食べる、働く、ととのう」小さな商業施設

地元広島につくりたかったのは自分たちが
本気でわくわくするワークプレイスと
ライフスタイルが同居する場所
広島・東京のカルチャーが程よく混ざり
「食・職・遊」の交わる交差点のような場所
人と街と共につくる遊び場であり
変化し続ける私たちの空間実験の場でもあります

  • 1F Restaurants, cafe and icecream

  • 1F Restaurant, cafe and icecream

  • 2F Gallery & event space

  • 3F Office

  • 4F Blank space

  • 5F Hiki stargazing sauna

  • 5F Hiki stargazing sauna

  • Rooftop garden

「食べる、働く、ととのう」が楽しめる小さな商業施設

広島のオフィス移転のため平和公園から程近い猫屋町に古いビルを入手したのが数年前。当初計画していたレジデンス併用オフィスの新築計画からリノベーションでホテル併用オフィスとする案に変更し、いざ着工というタイミングでコロナによりプロジェクトは一旦保留に。そんな紆余曲折を経て小さな商業施設という形に落ち着いた猫屋町ビルヂングは、過去の計画からの学びやその間の環境や思考の変化を内包するものとなった。

設計を生業とする私達が心身ともに健康でクリエイティブな感覚を持ち続けるためのオフィスとはどんな場所だろうか? コロナを経験しどう生きるのかという根本的なことから改めて考えると自分達の理想は、仕事と生活の境界を切り離すことなく双方が関係し合う環境がある仕事場というよりはむしろ「遊び場」のような場所だった。そして自分達が本気でわくわくできる場を自分たちで考え作り育てること。そんな思いから広島・東京のカルチャーが程よく混ざり「食・職・遊」の交わる交差点のような場所を目指してオフィス兼商業施設の計画を始めた。

建築とは総合格闘技、リノベーションは例えるなら合気道である。広島で生まれ育ち経験を積んできたので街や人に還元し接続する場として、思い通りにならない躯体、ノイズとも取れる意匠など建物のもつ個性に抗わずに“受け入れて活かすこと”でこのビルと街との関係を引き継ぎ新たな場へと更新したいと考えた。錆による経年変化を受け入れ印象を一新させたビルの外観は、既存のタイルを剥がし上から金属コーティングを施した。4つのお店をハシゴできる1F食のフロアでは元々あった窓枠の意匠をベンチとし、ガレージやルーフトップなど外部空間も客席となるよう設計。共用部はほとんど手を加えず、既存の中連窓を照明器具として扱い、玄関灯を使ったサイン計画、現代版提灯としてFRPで制作したオリジナル照明など見立てのデザインを随所に取り入れた。用途を決めず状況に合わせ使い方が変わる2Fはアートの展示だけでなく音楽ライブ、食のポップアップなどさまざまな用途を想定。オフィス空間もコワーキングスペースとしての活用を視野にいれプランターと本棚、テーブルをシームレスに一体化させた。サウナは最上階に配置し屋上スラブに新たに開口を開け外の気配を感じる坪庭や、光や風、夜には星空を眺め時には雨が降る、ビルの中に居ながらも外気や自然を感じる原初的な体験をデザインした。
企画したそれぞれのコンテンツがフロアを超えた立体的なつながりを生み集合体としてビル全体の魅力を生み出すよう丁寧なディレクションと編集、それらの繋がりを具現化するための設計に注力した。依頼を待つだけでなく、自ら作りたい空間や感動する建築を生み出す。自分達らしい働き方や新しい設計事務所の在り方をこういった挑戦のなかで模索していきたいと思う。文化やコミュニティを創出する小さな商業施設「猫屋町ビルヂング」は人と街が共につくる遊び場であり、変化し続ける私たちの空間実験の場でもある。

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所在地

広島県広島市中区猫屋町8-17

営業時間

社食堂 11:30~23:00

yacone 11:30~19:00

つかんと 11:30~24:00 曜日によって異なる

sibire 11:30~24:00 曜日によって異なる

定休日

1F 水曜日

5F サウナ:不定休

TEL

050-8890-3796

credit

写真

長谷川 健太

担当者

吉田 愛

谷尻 誠