まだ見ぬ風景をデザインする
絶景不動産とは、すばらしい景色を持ちながらも建物を建てる敷地と認識されていない土地や建築が存在することによって価値が顕在化する敷地など、設計という視点から観察することで、敷地のポテンシャルを引き出す不動産会社のことである。
これまでに多くの傾斜地に建築をつくってきた。敷地に建物がない時は、ある視点においては建築をつくることが難しいとか、不安定な土地なのではないか、工事費が高くなるのではとか、様々なネガティブな要素がイニシアティブをとり始める。
設計段階で、通常よりもより慎重に敷地を調査して、構造的にも建設的にも安全をエンジニアリングしながら建築することで、完成した暁には、その場所にしかない価値ができ上がることを幾度となく経験してきた。扱いにくかった敷地の性格が、建築の力で魅力的な個性へと変換されたことで、敷地の価値が変わった瞬間でもあった。もちろん建築ができ上がるまでは、敷地の価値は決して高くないため、建築にコストのウェイトを置くことができる点も魅力であるともいえるだろう。
まだ眠ったままになっている魅力的な敷地の価値を掘り起こし、その敷地自体を自らが見つけ社会に提案していくためには、不動産をデザインする視点が必要だと考えた。
今はまだ霧の中に隠れている敷地の魅力を、建築の力でクリアにしていくことで、日々を豊かな風景と共に時間を過ごして欲しいという思いとともに、風景とともに建築をつくっていきたいと考えている。