周南の家

自然のすきまを建築する

大きな自然の中に
壁のような建築を建てることで
ゆるやかに自然を分ける
まるで自然のすきまに住んでいるように
外部との関係がほんの少し近づいていく

自然のすきまを建築する

これは自然と建築の関係について考えた住宅です。

敷地は、山と山に挟まれた谷状の場所に広がる田畑の中に位置します。一見どこまでが敷地で、どこからが隣の敷地なのか見分けのつきにくい場所に対して、壁のような細長いボリュームを可能な限り敷地いっぱいに建てることを考えました。するとたちまち壁のような建築の両側には、性格の違った自然が敷地をとび越えて存在し始めます。壁より道路側には少しパブリックな自然ができ、反対に壁より山側には少しプライベートな自然が出来ることになります。大きな自然の中に壁のような建築を建てることで、ゆるやかに自然を分ける操作です。

壁のような建築は、それまで存在し得なかった自然に境界を生み出し、その境界に自然と自然のすきまを存在させます。性格の異なる二つの自然を生み出す壁のような建築の内部空間は、まるで自然のすきまに住んでいるような感覚を持つ場所となり、外部との関係がほんの少し近づいた住空間となります。

建築により自然がゆるやかに定義され、自然によりすきまという形で建築が定義されます。それは、まわりに大きな自然が広がるこの敷地だからこそ築き得る自然と建築の関係性ではないかと考えます。

data

竣工

2014年02月

所在地

山口県周南市

用途

住宅

構造

W造

階数

地上2階建

設計期間

2011.09-2013.06

施工期間

2013.06-2014.02

敷地面積

328.41㎡

建築面積

59.16㎡

延床面積

112.85㎡

credit

施工

三和建設

写真

矢野 紀行

担当者

谷尻 誠

吉田 愛

奥田 晃輔