風景と住まいの余白
川沿いの住宅が連なる敷地で、向かいには桜並木が見え、さらに向こう側には低層の住宅地が広がっている。左右を住宅に挟まれた土地で、目の前の土手にはランニングコースが整備されている。遠くに見える橋の上では時折電車が通り過ぎるのが見える。
1階を2層の高さを持つ静穏な空間とし、その上に、屋根から風景を眺めているような場をつくった。都市と川沿いの風景を持つ空間は、四季折々の多様な変化をもたらし、伸びやかな生活を演出する。寝室は、家の中に屋根をかけた小さな東屋として設え、その外側は、天高く空が切り取られた静かな路地となっている。屋根の上は斜面となり、座ると川の風景が見え、土手に居るような気持ちになれる。
家の中の屋根=斜面は、機能が固定されていない場所となり、生活と風景が連続したシーンをつくり、住まいに自由を与える余白となっている。