路地がつなぐ家
家と家の間の狭い路地や、庭の先、小屋のかげ、床下、空き地といった場所は、子どもたちにとって、格好の遊び場であった。遊ぶ場所や遊び方が決められた場所ではなく、どこでどう遊ぶかを考える、自然と遊びの場になっていくような、そんな中庭を持つ住宅を考えた。
始めに、部屋を建築という単位に置き換えることで、ひとつの住宅でありながらいくつもの建築であるような状態を設計する。バラバラに配された建築のあいだにはガラス屋根の架かった路地をつくり、廊下でありながら街路のような、プライベートでありながらパブリックスペースであるような、内部でありながら外部のような、そんな、モノとモノとの間のような空間をつくり出す。その間の空間では、子どもたちが走り回ったり、風を感じながら食事をしたり、太陽の下で読書をしたり、星を見ながら眠りについたり、今までの内部で完結した空間とは違う、想像力に溢れる場が、そこでは生まれている。
子どもたちが積極的に外部空間を使いこなすように、この住宅では街路(中庭) が生活の一部として使われ、内部の行為が外部に参加していくことで内外の関係が等価になっていく。都市の中庭であるような街路が、住宅と親密な関係を築いていく先に、今までの内部と外部の関係を超えた新しい関係性に建築の未来を想像した。