新しい内部と外部の関係性
静岡市内のアパレルセレクトショップの計画。私たちはこれまで、住宅等で空間の内部と外部の関係性を考えてきたが、ここでは服や家具についての内部と外部の関係性について考えた。
西洋では、スポットライトなどの人工光ではなく、窓などから入る自然光の明かりの中で作品を鑑賞する美術館が数多くある。それは、絵画の大半は自然光の下で描かれたものであり、作家が作品を描いた時の状況とできるだけ近い状態で鑑賞者に鑑賞してもらうのが最善と考えたからであると思う。私たちは服や家具にもそのようなことがいえるのではないかと考えた。
建物の中に、自然光によって感じる「外部を感じる部屋」と「内部を感じる部屋」をつくることで、服や靴などの商品が、本来使われる時と同じ環境として置かれるべき「場所」を設計した。
天窓からさんさんと太陽の光が降り注ぐ外部屋には、アウターや靴などの外で使う商品を置き、人口照明の暖かい色に包まれる内部屋には、インナーや雑貨などの内で使う商品を置くことで、 それぞれの商品が実際に使われる状況を想像させてくれるような「場所」が生まれる。
光環境という要素で内部と外部の場所をつくり出したこの計画は、建築とその使われ方の新しい関係性を提示できたのではないだろうか。