kolor 心斎橋PARCO

対比・混沌・違和感

工事現場に置かれた服やアート
ラフな仕上げとラグジュアリーな素材
整然とした軽鉄と抽象的に置かれた什器
秩序と無秩序

対比する要素を作り
生まれる違和感・混沌によって
ブランドを表現する

対比・混沌・違和感

Kolorというブランドを考察すると、素材、パターン、加工、色など、洋服を構成する様々な要素において、はっとさせられるような“良い違和感”が感じられる。ショップのデザインに際し、その “良い違和感”という感覚を幾つかの“対比”を用いてブランドの魅力として空間的に表現したいと考えた。

出店エリアがハイブランドに挟まれているという立地条件から、両サイドの店舗やフロア全体は高級感のある素材で仕上がってくることが想定された。その環境に対する圧倒的な違和感として、仕上げを施す前の工事現場のように未完成な設えとして残すこととした。

通常は仕上げ材で覆って見えなくなる軽量鉄骨の下地材や配管や配線、耐火被覆された鉄骨柱などはすべて現しとし、さらに必要のない大量の配線をフェイクとして追加。色鉛筆の種類ほどある色とりどりのカラフルな配線はKolorの洋服の特徴でもある差し色との親和性を意識し、これらフェイクの存在もチャーミングな空間のアクセントになるよう意図した。

マテリアルの大半は工業製品的なチープな素材でシャープなディテールを目指し、一部にラグジュアリーな印象のカーペットやオブジェのような真鍮素材の什器を加えた。この様にさまざまな要素を対比という関係のもとデザインに落とし込むことで、ブランドの魅力にも通じる“良い違和感”と心地よい裏切りのある空間を目指した。

data

竣工

2020年10月

所在地

大阪府大阪市

用途

アパレルショップ

設計期間

2019.09-2020.10

施工期間

2020.08-2020.10

延床面積

117.40㎡

credit

施工

ティーエイチイー

セットアップ

照明計画

ENDO

特注什器

アイチ金属

セットアップ

特注ガラス

AGCガラス建材

写真

長谷川 健太

担当

吉田 愛

谷尻 誠

中山 晃輔

media

商店建築 2022年10月号