Le coq sportif avant Harajuku

街へ一部開放すること

いかに街とつなげられるかについて考察し
その回答の一つとしてショップフロントを
建物内にセットバックさせた

その新たに作られた
街と店の間を街へと開放し
あえて通りから後退することで
人と店の距離を近づけ
最終的にブランドとしての
間口を広げることを意図した

街と店の間につくられた新たな空間

フランス生まれのスポーツブランド「le coq sportif(ルコックスポルティフ)」の新業態が、東京・原宿にオープンした。 ブランド名に追記されている「avant (アヴァン)」とは、フランス語で「前に」を意味し、サイクルウエアをルーツの一つとする同ブランドに「疾走感」や「前衛的」という表現を加えることを意図している。

ブランドが持つスポーツカテゴリーを背景としながら、業態のコンセプト「エスプリ・フォー・アーバンライフ」を表現するため、私達は「非日常を日常化する」という考えのもと設計を始めた。また、ブランドのアイデンティティーとなっている「フランス」や「自転車」という要素を踏まえ、この店舗でファッションアイテム以外に新たに提供される物販とフードの取り扱いを、いかに街とつなげられるかについて考察した。

その回答の一つとして、ショップフロントを建物内にセットバックさせ、街と店の間に新たな空間(中と外との間である中間領域)をつくることで、店を街に開放した。この領域につくったのは、見慣れたコンビニエンスストアであり、パリの街にあるカフェのテラス席であり、コーヒースタンドであり、自転車を停める道端でもある。つまり、街にある日常的な風景である。あえて通りから後退することで、このブランドを目的に来店されるお客様以外の方とのタッチポイントを増やし、人と店の距離を近づけ、最終的にブランドとしての間口を広げることを意図した。

スポーツをもっと身近に感じ、「楽しむ」というライフスタイルを提供をする場として、社会の既視感の中にある「日常」や「普通」を再編集し、店舗デザインの領域を超え、都市生活のリデザインまで意識を拡張した設計をすることで、人の行動や生活にアクションを起こせるような空間づくりを目指した。

data

竣工

2017年03月

所在地

東京都渋谷区

用途

店舗

設計期間

2016.10-2017.03

施工期間

2017-01-2017.03

延床面積

226.00㎡

credit

施工

セットアップ

照明

On&Off

写真

矢野 紀行

担当者

谷尻 誠

吉田 愛

栫井 寛子

media

商店建築2017年7月号