エントランスとしてのあり方
結婚とは個人の人生において少なくとも気軽な決断ではない。そういった前提を加味して結婚を意識するカップルが生涯のパートナーとなる人と自然体で次のステージに向かえるよう、ブライダル業態の敷居の高い印象自体を変える為のエントランスについて思考した。
店は街の中心のアーケードにつながる通り沿いに面し人通りが多い場所である。結婚式のプロデュースと式場を運営するクライアントからのインフォメーションスペースの設計依頼において、そこを通るカップルが気負いなく入って来れるよう敢えてカフェという形態をつくり、そこでのライトな情報を経て段階的に深度を深めていけるよう個人の心境と空間の階層がリンクするような空間構成を意識した設計とした。
エントランスは前面道路から気軽に入れる開放的なパブリックスペースとし、次の階層として一段上がった門型フレームの連続する内部的な空間という2つのエリアで構成し、奥の空間ではドレス、アクセサリー、旅行等、ブライダルにまつわる様々な本を読みながらゆっくり寛ぎ情報を得ることが出来る場所としている。また内・外部に店を象徴するアイコンとして植物を取り入れた。
この場所から出発した二人にとって記念すべき場所が、ふたりの関係と同じく、時間の経過とともに魅力を増すような風化しない場となることを意図した。