まちの一部をデザインする
徹夜をすると、夜と朝、今日と明日がつながっていることに気づく。インテリアのデザインをするということは、街の一部をデザインしていることでもあり、同時に什器によるランドスケープをつくっていることなのではないだろうか。あら
ゆるものが分かれているようでつながっている状態、このプロジェクトに置き換えるとアパレルと飲食と植物が、それ
ぞれ成立しながらも連続的に展開していく状態について考えたプロジェクトである。
建築の内部にあるインテリアデザインの領域を、街と連続した敷地として考え、その内部敷地に建築をつくることで室内に建物と庭の関係性を生み出し、外部と連続した街につながる空間をつくり出している。ビルの屋上も店内の一部と従え、建築的なパーゴラをつくることで、囲まれた落ち着きのある外部空間とした。空間を定義する領域性を横断することで、商業という施設が、新しい体験の場になることを意図した。
初めて夜が明けて朝の訪れに出会った時の、何ともいいようのない清々しさ、それはもしかすると様々な連続性に気づいた時に得る感動なのかもしれない。洋服を着るということが、珈琲を飲むことや、植物に水をやることと生活を通してつながっているのに気づいた時、日常生活がより豊かになるのではないだろうか。
インテリアをつくることが室内をつくるという価値観だけではなく、街と接続され、街づくりの一部として場所に寄与し、街に活気をつくり出せたとしたならば、それは都市をつくっているともいえるだろう。まだ見ぬ未来への連続性を、私たちは日々模索し続けている。