まちの一部をデザインする
徹夜をすると、夜と朝、今日と明日がつながっていることに気づく。インテリアのデザインをするということは、街の一部をデザインしていることでもあり、同時に什器によるランドスケープをつくっていることなのではないだろうか。あら
ゆるものが分かれているようでつながっている状態、このプロジェクトに置き換えるとアパレルと飲食と植物が、それ
ぞれ成立しながらも連続的に展開していく状態について考えたプロジェクトである。
建築の内部にあるインテリアデザインの領域を、街と連続した敷地として考え、その内部敷地に建築をつくることで室内に建物と庭の関係性を生み出し、外部と連続した街につながる空間をつくり出している。ビルの屋上も店内の一部と従え、建築的なパーゴラをつくることで、囲まれた落ち着きのある外部空間とした。空間を定義する領域性を横断することで、商業という施設が、新しい体験の場になることを意図した。
初めて夜が明けて朝の訪れに出会った時の、何ともいいようのない清々しさ、それはもしかすると様々な連続性に気づいた時に得る感動なのかもしれない。洋服を着るということが、珈琲を飲むことや、植物に水をやることと生活を通してつながっているのに気づいた時、日常生活がより豊かになるのではないだろうか。
インテリアをつくることが室内をつくるという価値観だけではなく、街と接続され、街づくりの一部として場所に寄与し、街に活気をつくり出せたとしたならば、それは都市をつくっているともいえるだろう。まだ見ぬ未来への連続性を、私たちは日々模索し続けている。
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BIOTOP(生き物本来の生態系が保たれた空間)をコンセプトにした複合ショップである。4階建ての古いビルの1、2、4階をリノベーションしたもの。南堀江は元々家具の街であり、その後、ファッションの中心地であった。近年、梅田駅周辺に次々と大型商業施設が誕生し、街の路面店の存在が薄れてきた。しかしこの店が街を活気づける起爆剤になり、南堀江は再びファッションストリートとして復活し、この店はランドマークとして人気になっている。
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1階はボタニカルショップの緑で彩られ、道路に面したコーナーにはコーヒースタンドがあり、人が行き交う。1、2階のショップは洋服からコスメ、雑貨まで扱うライフスタイルを提案する店で、4階の屋上は緑が溢れるレストランになっている。この店の内装は敢えて「街と連続した外部」としてデザインされている。空間の内装ではなく、空間の中にいくつかの建築がつくられ、そこに内と外の関係性が生まれ、室内にも公共空間が生まれる。緑と店舗、街が連続的に展開されている。