建築をつくるようにインテリアをつくる
インテリアデザインは室内という敷地に、新しい建築を考えるということでもあるのではないだろうか。敷地は渋谷区神南にある。幾度もの改装を繰り返した痕跡が残る、時間という概念が潜む敷地だった。ここでは敷地条件を意図的に変えることなく、その環境を受け入れるように丁寧に設計していくことが非常に重要と感じた。
それは建築を作る際に、その場所の環境を受け入れるように設計するのと同じ行為でもあるため、ここでも建築をつくるようにインテリアを従えることにした。具体的には、いくつかのカテゴリーに分けることが求められたので、それを設計の頼りにしながら、敷地の中に敷居と鴨居による領域性を持たせたガラス建築を配していくことで、街のように建物と道をつくるように空間を構成していった。建物の間に出来た路地を歩くことで、長い時間によって作り出された既存の風景と、新しい現代建築による関係性を体感しながら、この場所でしか実現し得ない洋服と街との関係が作り出された。古いモノは新しさが、新しいモノは古さが互いを顕在化させる。
その関係性をデザインしていくことが、その場所を読み取ることであり、インテリアという環境に相応しい建築を考える事でもある。様々な環境を柔らに読み取り、都市の中にある敷地という内部、敷地の中の建築という内部、建築の中という内部、スケールに応じた内部と外部の関係を読み解いていくこと、つまりは様々な関係性を設計していくことに我々は興味を抱いている。