都市に余白を編む
多様なチームの協働により、空間にとどまらずコーヒーや料理、食器、音楽、グラフィックに至るまでを、ひとつながりの体験として構成したカフェ計画である。敷地は仙台の、表通りと路地がつながる角地。街の流れを受け止める立地でありながら、既存ビルはフラットで均質なファサードによって内外が明確に分けられ、街に対して淡白な表情をみせていた。そこで、境界の在り方を再構築することを試みた。開口部をセットバックし、下部にベンチと植栽をしつらえて、小さな滞留の場をつくった。ガラス越しに連続する素材が境界をやわらげ、店の構えを街にひらく。深いブラウンの吹き付けや木の質感を基調に、点在する光やガラスの艶、緑と陰影を重ね、既存の均質な外皮に温度と奥行きを与えている。
内部は、純喫茶のような落ち着きと懐かしさに、軽やかさと洗練を重ねた「現代の純喫茶」のような空気感を目指した。ウォールナットの量感で足元に重心をつくり、上部は白い天井面で抜けを確保する。設備の存在感はできる限り抑え、光が伸びやかに映える面として天井を整えた。ファブリックや色むらのある特注タイル、アクセントとなる製作照明、日に透けるカーテンなど、懐かしさを感じる色味や形状をもたせながらも、洗練が同居する佇まいとしている。表通りに正対するDJスペースは店のシンボルとして佇み、食事の時間に音楽が寄り添い、ときにイベントも催される。
純喫茶のような落ち着きを基調としながらも、親密さと開放感、懐かしさと新しさ、重さと軽さといった対比を調和させ、どちらにも偏らない居心地を整えた。利用者や過ごし方のグラデーションを受け止め、余白のある時間が流れる場となることを願っている。